介護施設というと、特別養護老人ホーム(特養)や、老人保健施設(老健)等の、大きな施設をイメージします。
在宅介護と施設介護の中間のライフスタイルがあるのがグループホームです。
いわゆる認知症高齢者が集まって生活する共同住宅ともいえます。
特養や老健に比べれば建物が小規模なグループホームは、郊外だけでなく市街地に多く存在します。
市街地のグループホームには、看板が無い場合もありますし、外観は民家のように見える場合もありますから、周囲に存在を知られていない場合もあります。
グループホームの入居者は、その地域の高齢者とは限りませんし、介護職員も経営者も、地元の人とは限りません。
ほとんどのグループホームに共通するのは、地元の自治会・町内会には加入せず、地域の行事などに参加する事もないですから、住民との接触が無いものです。
グループホームの入居者・介護職員が外出する機会も少ないですから、顔見知りになる事も少なく地域から孤立した状態です。
高齢社会において、グループホーム・特養・老健などの介護施設の充実は必要!!と言いつつも、自分の居住地域には作って欲しくない!! こんな気持ちの人は多いものです。
メディアで報道されたグループホームの火災事故で、多数の入居者の死亡があります。
いくつか上げると、札幌市にある認知症の高齢者のためのグループホーム「みらいとんでん」で火災が発生、群馬・静養ホーム「たまゆら」の火災、そして最近は、長崎市の認知症グループホーム「ベルハウス東山手」の火災があります。
これらの施設に共通するのは、本来、グループホームとして建設された建物でなく、リフォームしてグループホームにしたものです。
更には、スプリンクラーなどの防災設備が無い事も共通です。
ただ、介護施設のスプリンクラーの設置基準は「275u以上の規模の施設」となっていますから、法律上では適合している事になります。
介護施設だけでなく、法律の適用範囲については、行政や運営者・学識経験者などの立場の違いによって、意見が違い妥協点によって、決まっているように感じます。
最近は、個人住宅においても、ガス漏れ警報機・煙感知器などの防災機器の設置が義務になっていますから、高齢者の生活の場であるグループホームなどの小規模介護施設においての、防災基準が妥当なのか? 疑問が生じます。
グループホームと言っても「民間企業」ですから、ボランティアでなく利益追求するのは、当たり前の行為です。
介護スタッフの給料・光熱費・建物の減価償却なども考える必要がありますし、金融機関からの借り入れがある場合は、返済も考えなければならないものです。
グループホームの建物に関する費用や、入居者数・介護スタッフの数なども、法律の適用範囲のギリギリで行われる場合がほとんどです。
介護スタッフの配置だけは、夜勤の都合などで、特養・老健に比較すれば、多くが必要になりますから、負担が大きいものです。
グループホームへの入居を考える場合に注意したいのは・・・・(特養・老健にも共通しますけど)
建物内では、部屋の広さ・明るさ・快適さなどに目がいきがちです。
食事については、入居者が作るのか?食事全体を介護スタッフが作るのか?(要介護度が高ければ介護職員が作ります)
また、日々のイベント・外出についても、目が行きますし、入居費用をはじめとした経済的負担も大切です。
グループホームのパンフレットなどには記載されている事が少ない、火災・災害時への対応も要チェックです。
市街地のグループホームであっても、火災・災害時に、近隣住民の協力が得られるとは限らないものです。
自治会・町内会などに加入していないですから、期待できない!!という現実があります。
一般の建物とは違い、高齢者が集団生活する場合は、避難経路・訓練は大切です。
普通の人よりも動作が緩慢になっていますから、感覚も違うものです。
法律の制限をギリギリでクリアしている建物の場合、廊下・階段・出入り口周辺に、物があるかどうか? 見学時に物が置いてあるという事は、常時、物があるという事です。
火災の原因としては、暖房器具(石油ストーブ・ファンヒーター・電気ストーブなど)や調理器具(ガステーブル・電化製品など)が多いですけど、火災を拡大するのは色々な物への延焼です。
札幌市のグループホーム「みらいとんでん」の火災の原因は、ストーブ周辺に洗濯物があったのが火災の原因といわれていますし、群馬・静養ホーム「たまゆら」の火災はタバコの火の不始末といわれていますし、長崎市のグループホーム「ベルハウス東山手」は、空気清浄機が原因といわれています。
空気清浄機への対応は難しかったでしょうけど、他のケースには対応策があったように感じます。
長崎のグループホームの場合、TDKによってリコールされた製品が、それ以降も販売されていたという他の問題もあります。
グループホームは介護においては必要な施設といえますけど、民間企業である以上、理想とする施設やスタッフはわかっていても、投資できない現実があります。
評論家は、一方的な立場で評価しますけど、現実を知れば評価できない部分もあるものです。
グループホームには限りませんけど、QOLの維持と共に大切な事は「安全」です。
グループホームには、高齢者のスタンダードと、普通の人のスタンダードが入り混じっています。
介護スタッフと入居者の年齢差が大きいほど、ギャップは大きくなるものです。
高齢者が自分が暮らしやすいように設計するのが理想ですけど、現実的ではないですし、若い人が設計すれば想像に寄る部分が増え、想定外の事態が生じるものです。
グループホームをはじめとした介護施設の設計においては、ホームヘルパー・介護福祉士などの、介護経験者が設計段階から参加する事が望まれます。
建築の設計者には、建築士のほかに福祉住環境コーディネーター・ホームヘルパーなどの介護に関する資格保有者がいますけど、各方面との兼ね合いもあり、設計に携われていない現実があります。
グループホームに勤務する職員の待遇は、特養・老健などの大規模介護施設に勤務するよりも、労働時間・給与面での待遇が低く、転職・離職が多いという現実があります。
グループホームの経営の厳しさが、介護職員の待遇に表れているものです。
介護職員にとっても、介護技術よりも、料理などの家事が中心になっている傾向がありますから、モチベーションも低迷するのが現実です。
統計的に、介護の退職・離職が多いといわれますけど、グループホームは職員の出入りが多いという現実があります。
他の介護施設に比べて、介護職員の退職・離職率が高いものです。
介護スタッフの入りが多いということは、防災訓練が行き届かないという現実になります。
介護施設の中でも、グループホームは女性の介護スタッフが多いものです。
仕事の内容が、料理・掃除・洗濯などの家事的な部分が多いですから、仕方ない部分もありますけど、機械設備の維持管理を考えると、男性職員も必要ではないかと感じます。
男女に差をつけるというものではなく、適性を取り入れるという事です。
グループホームの火災・災害で犠牲者が出るのは、各方面においてリスク管理が不十分な結果とて受け止め、対策を講じる必要があるものです。
全国痴呆症高齢者グループホーム研究’98小さいことはいいことだ 全国痴呆症高齢者グループホーム.
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